おむすびコラム

遺産相続って難しそうですね。

相続に関する紛争といっても、様々なものがあり、裁判所で扱う事件の多くは遺産分割事件です。そして遺産分割紛争にからんでたくさんの問題が出てきます。特別受益・寄与・遺留分等の問題がそうですね。このような様々な紛争や諸問題を解決するには、相続人もしくは当事者同士での話し合い、協議により合意し合うというのも一つのよい方法です。 ですが、直接の話し合いでは、感情論に走ったり自己の権利主張が強くて激しく対立しあうこともあります。それで協議がまとまらない場合は、裁判所に頼らざるを得ません。

裁判所に相談とは?

裁判所を利用しての相続問題解決方法の典型例は、家庭裁判所に申立てをして解決を図ってもらう「家事調停」が一般的です。
家事調停というのは、男女で構成される調停委員2名(原則)が申立人、相手方々の言い分を交代にじつくりと聴き、円満解決を目指して双方の利害調整を図ります。 何回か調停を重ねて調停委員による調整が功を奏し、双方が合意に達すれば、審判官(裁判官)が調停条項(合意条項)を作り、当事者全員一同に内容を読み上げて確認をとります。 そして、当事者双方がその条項について異議なく承諾をしたら審判官(裁判官)が調停の成立の宣言をすると共に、後日裁判所から調停条項が記載された調停調書が当事者のもとに送られてきます。調停調書は、確定判決書と同じ効力をもちます。

それでも解決しない場合は?

調停で合意に達せず、不調となった場合は、申立人が調停を取り下げない限り、審判官(裁判員)が調停不成立を宣言します。 調停不成立となった時は、遺産分割事件や寄与分を定める処分事件などの、いわゆる乙類調停事件(元来、争訟的色彩を有する事項の事件)の場合は調停申立ての時に審判の申立てがあったものとみなされ、審判手続(審判官が当事者の意見を改めて聴いた上、申立て内容につき決定を下します)に自動的に移ります。審判官は、粉争事項につき、審判を下します。 この審判決定につき、不服のある当事者は14日以内に審判の取り消しや審判内容の変更を求めて、高等裁判所に即時抗告する途が開かれています。

遺産相続にも、様々な問題があるんですね。

相続問題で話し合いでは納得がいかず、調停を申立てたり調停が長期化するという事例が今、増えています。 その背景には時代のせいでしょうか?『少しの遺産でもいいから欲しい。こういう不安定な時代だからこそ自分を守るための遺産相続』と考えている人が増えてきたというのもあると思います。 ですが、長期化するということは、時間も労力も多大に費やされるということです。 それに、身内同士の争いの長期化は、精神的に疲れると思うんですよね。そうなる前に、お互いに相手のことを考え、譲歩するところは譲歩をするという寛容な気持ちが欲しいところですね。

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